ニュース&コラム - コラム
メタボで、医者から薦められているが、1日30分の運動ができない40〜50代の私たち。
先が見えないにもかかわらず、既存事業の延長上の改善しか行えない老舗企業や、研究開発のテーマを変えられない企業内の研究所。
国内市場が先細っているにもかかわらず、海外はリスクが高いからと躊躇し、成長戦略を描けない官需中心のプラントメーカー。
分かっちゃいるけど、辞められない。大事だと分かっていても、変わらないといけないと分かっていても、私たちは、中々『変革』に踏み出せない。
何故なら、『変革』は、①痛みを伴う、②面倒くさい、③必ず上手くいく保証がないものだからだ。CW#11重力に引かれる魂(2017/3/15)でも書いたが、「仕組み」が大きいほど、歴史があるほど、現状のままでいようとする「重力」がかかる。正に、私が長い間、係わってきた「エコの問題」と同じ構造だ。
遡るのと、高校生の時だった。近所の自然一杯の雰囲気を作っていた、そして、隠れた遊び場だった雑木林が伐採され、住宅になってしまった。そして、その理由が相続税だったと聞いて、今の様々な「仕組み」ではなく、もっと良い「仕組み」があるのでは?と感じたのだ。この出来事が、私が「エコ」に携わり始めた出発点だった。
その後、大学〜大学院では、政策決定に資するとして「環境勘定」や「環境経済」を研究、就職したシンクタンクでは、容器包装リサイクル法、循環経済法などの「環境関連の法制度の策定・運用」に携わった。その後、環境問題をビジネスの力で解決すべく「環境ビジネス」に携わるようになり、独立し、「エコビジネスデザイン方法論の開発」で博士論文も書いた。
10年程前に、ある人から「環境ビジネスは、“Nice to have”だから、難しい」と言われた。その時、まさに「あ、そっか!」と呟いた。今まで自分が対峙しきたことは、“緊急ではないものの、将来に渡り、極めて重要な問題に向けた「変革」に、如何にしたら踏み出せるのか”というテーマだったことに気が付かされたのだ。
VUCA(Volatility Uncertainty Complexity Ambiguity)な時代に突入し、これまでの勝利の方程式が通用しなくなりつつある。先に挙げた例だけでなく、様々な分野で制度疲労が生じつつあり、『変革』が求められている。しかし、かつての成功体験、過去の前提条件下で高度に最適化された仕組みの中で、『変革』は相当難しい。
これまでの経験から、『変革』に向けた一つの進め方を提唱している。いきなり大きな・本丸の『変革』に対峙しようとするのではなく、“変革の物語を紡ぎ”、正しい方向に向けた出来る範囲の小さなイノベーションを、一歩一歩積み上げていくという、「リーン・スタートアップ」に近いやり方だ。これこそが、『変革』への近道である。
そして、常に『変革』に向けて動いていることこそが、今のVUCAな時代においては重要だ。今後起きるであろう、想定していないあらゆる変化≒リスクに対応出来る、「反脆弱性」を担保できるからだ。
以上