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2019.08.01
コラム
Column[Creative Work#52] ;ヒトはそもそも変化を嫌う

わかってはいるが変えられない

なぜ温室効果ガスの排出をやめられないのか?、なぜメタボ解消のために1日30分の運動ができないのか?、なぜ縮小する国内市場から海外市場に軸足を移せないのか、なぜ学歴の価値が下がっているのに、子供に過度の受験勉強をさせるのか?。私たちは、薄々辞めた方が良い、変えた方が良いと思っていても、中々変えることができない。

 

私たち“ヒト”の4つの特性

私たち“ヒト”は、相対性、社会性、近視性、楽観性という特性を持つ。高知工科大学フューチャー・デザイン研究所の西條辰義所長は、以下の様に述べている。

「Sapolsky(Sci.Am.,2012)によると、私たちヒトは三つの特性を持つのだそうだ。一つ目は相対性である。私たちの五感は絶対量ではなく、その変化に反応する。急に大きな音がしたり、暗くなったりすると自己の生存可能性を高めるために自然に(デフォルトで)反応する。この性質は外的な要素が変化しない限り反応しないという意味で、最適性の原理(微分してゼロ)と読み直すこともできる。二つ目は社会性である。ヒトは複数の主体が連携を取ることで、他の動物に打ち勝ち、食物連鎖のピラミッドの頂点に立っている。ただ、社会性にはなにかがしかの教育や経験が必要で、即座に身につけることができるものではない。三つ目は近視性である。目の前にあるおいしいものを我慢して食でないでおくことは簡単にはできない。私はこれらに楽観性を加えたい。ヒトそのものも自己の生存確率を高めるために、過去のいやな事は忘れ、今の快楽を追い求め、将来を楽観的に考えるように進化した可能性がある(Sharot(Curr.Biol.,2011))。」

 

“ヒト”の集合体である社会、会社、組織も変えられない

相対性も、プラスより、マイナスに対する感度が大きいようだ。近視性では、極端に言うと10年後の100万円より、今日の1万円が大切にされやすい。だから、将来のための今1万円を失う取り組みを躊躇する。楽観性は、変わらなくても何とかなる、神風が吹いてくれると心の奥底では願っている。だから、私たちヒト、そして、その集合体である社会、会社、組織は、そもそも変化、それも不確実性のある変化を嫌う。

 

“ヒト”の特性を踏まえ『変革』を興す

変えなくてはならないと、危機感ばかり説いていても、変わることはできない。

目指すゴールを明確にイメージして、そのゴールへの渇望力を、『変革』の原動力にしていきたい。10年後の100万円を、より具体的にイメージすることで、そのプラスを大きく感じられるようにする。例えば、メタボ対策の場合、単に「体脂肪率○○%」という目標設定だけでなく、そうなったら、どんな良いことが起きるのかを考えて、ゴールを明確にイメージする。中期経営計画やビジョンで目標数値だけが設定され、その具体的施策を社員が考えなければならなくなった時、私のプロジェクトでは、その目標が達成したら、どんなに素晴らしいかを共有してから、進めることにしている。

また、別の工夫もある。変えるための行動、例えば、メタボ対策のためのジム通いも、その行動、そのものがプラスに、楽しく感じられるような工夫をする。例えば、ジムに友達を作り、通うのを楽しくする。或いは、会社がジムに通った回数を表彰するなどである。

こういった工夫をして、しなやかに『変革』を興すのだ。

以上

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