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「バカと付き合うな(著:堀江貴文、西野亮廣)」
2018年10月に出版され、「『バカ』と関わり合うのは時間の無駄!」という宣伝文句で話題になった本書では、28種類の「バカ」が紹介されています。例えば、「我慢を美徳として、人にも強要してくるバカ」、「経験も少ないくせに、根拠のない勘に頼ろうとするバカ」、「善意なら何でも許されると思って思考停止するバカ」、「未来に縛られるバカ」、「空気を読むバカ」、「バカを笑って、自分は棚上げのバカ」…です。
「バカ」な上司
先日、新規事業の検討をしているクライアント先の若手から、「いくら説得しても、わかってもらえない、どうして、この重要な取組をやろうとしないのだろうか?」と悩みを伺いました。彼女からすると、その上司は「これまでの常識に縛られ、思考停止になっている『バカ』」だと感じているはずです。
相手を「バカ」だと思考停止したら「大馬鹿者」
本当にそうでしょうか?
思考停止しているのは、自分ではないかと考えてみて下さい。
「わかってもらえない」と嘆く人ほど、逆に、相手のことをわかっていないことが多いと言われています。また、自分は完璧ではないにもかかわらず、上司に対しては、完璧な、理想的な上司像を求めてしまいがちです。まさに、サラリーマン時代の私がそうでした。
上司だって、一人の人間です。常に、完璧な、理想の意思決定をするわけではありません。好き嫌いがあったり、自分自身の立場を大事することもあるはずです。
それに、自分とは、見ている立場が違うので、状況に対する認識が違います。何を重要視するのかという価値判断の構造も違っているはずでしょう。それらを想像すらせずに、嘆いていては、自分も「バカ」の仲間入りになってしまいます。
相手の立場に立てば、道は開ける
その上司が、どんな状況認識をしているのか?、どんな価値判断の構造を持っているのか?を想像して、それに汲んで、上司へのインプットして、自身のプレゼンテーションは十分だったのだろうか?と考えてみて下さい。必ず、道は開けます。
私自身、自分と意見を異をするクライアントと対峙した時、まずは相手の意見の全てを肯定し、何故、相手がそう考えるのか?を探ります。表面に現れる結論の差異の是非を議論しても、仕方ありません。大抵の場合、①状況に対する認識か、②価値の重み付けか、③因果関係のメカニズムかに、ボタンの掛け違いがあります。そうして初めて、違いを説明した上で、「こういう考え方もできませんか?」と提案するのです。
こう上手くいかなくても、わかろうとする真剣な姿勢を見せるだけで、状況は随分と好転するものです。
最初に紹介した「バカと付き合うな」も、宣伝などでは、「『バカ』と関わり合うのは時間の無駄!」と謳っていますが、よく読むと、「そんなバカになったらあかんよ!」「そんバカとも上手く付き合っていこうよ」というのが、本当のメッセージだったように思います。
以上