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資本主義の限界を唱えられ始めた
ジョセフ・E・スティグリッツ,“The Price of Inequality ”(2013年4月)、マイケル・サンデル,“What Money Can’t Buy: The Moral Limits of Markets”(2013年5月)、ヘンリー・ミンツバーグ,“Rebalancing Society-Radical Renewal Beyond Left. Right, and Center”(2015年1月)、フィリップ・コトラー,“Confronting Capitalism”(2015年4月)など、米国の学者が資本主義の限界、懐疑論を唱え始めました。
軌を一にして、自由経済の中枢とも言える、米国ビジネススクールの大御所の二人が、新しい資本主義に向けたコンセプトを提唱し始めました。社会価値と経済価値を共に拡大させていこうというマイケル・ポーターの「CSV(Creating Shared Value)」とマーケティングの目的は「世界をより良いところにする」としたフィリップ・コトラーの「マーケティング3.0」です。
SDGsは資本主義の中枢からの叫び
最近よく耳にするようになった2015年に制定されたSDGs(Sustainable Development Goals)もこの流れの中にあると、私は考えています。
SDGsは、資本主義の辺境に座するNGO的なメッセージでは決してありません。資本主義の中枢にいる、お金を持った人々からの叫びです。これ以上格差が広がったら、これ以上資源の無駄遣いを進めば、最早、資本主義が維持出来なくなるという危機感の現れなのです。
SDGsにはお金が流れる
だから、お金は必ず流れるのです。平たく言うと、SDGsでは、企業活動がこれまで考えていたよりも広範にそして大きく社会に影響を与えるという認識を持ち、それを配慮する企業経営が求められるということです。しかし、日本の経営者の中には、表向きは積極的な姿勢を見せるのですが、SDGsは未だ辺境の地にいる持続可能村の住民たちの遠吠えであり、取り繕う程度の対応で、やり過ごせると思っておられる方をまだまだいるのが、残念でなりません。
その先にある、新しい資本主義のカタチ
2030年は直ぐそこです。大阪万博の5年後です。2030年、そのように企業の行動様式が変わってきた世界は、どのような世界になっているでしょうか?2030年以降、私たちは、どんな世界に向かおうとするでしょうか?
SDGsが唱えられて5年、目標期間までの3分の1が過ぎた、今、そろそろSDGsの先にある、資本主義の新しいカタチを考え始めていきたいものです。
以上