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2020.04.01
コラム
コラム【クリエイティブ・ワーク#66】;『絶対』は絶対ない

頻発する「未曾有」「想定外」

4月1日は入社式や入学式など新たな門出を祝うニュースが溢れる日です。例年なら。今年は様相が違います。世界中にコロナウィルスの猛威が吹き荒れ、社会には行動を制約される不満と、前が見えない不安が覆っています。
2019新型コロナウィルスの世界的な感染拡大とその社会への影響は、確かに「未曾有」と言える出来事ですが、2011年の東日本大震災、2008年のリーマンショック、1995年の阪神淡路大震災と思い返すと、日本でも「未曾有」「想定外」な出来事が10年に一度以上のペースで起きています。(写真は阪神淡路大震災当時のもの)

 

「ブラック・スワン理論」

「ありえなくて起こりえない」と思われていたことが急に生じた場合、「予測できない、非常に強い衝撃を与える」という理論です。「ブラック・スワン」は、白い鳥だけと思われていた白鳥に、黒い白鳥(ブラック・スワン)もいることが、1697年にオーストラリアで発見され、大きな驚きを与えて以来、ヨーロッパではありえなくて起こりえないことを述べる際に、この言葉を使うようになりました。そして、現代の世界では、先に述べたように、この「ブラック・スワン」が頻出しています

 

「反脆弱性 antifragility」

この不確実な世界を生き延びる考え方として、「ブラック・スワン理論」の提唱者であるニコラス・タレブが提唱しているのが「反脆弱性 antifragility」です。英語の「fragility(脆弱性)」の反対語としてタレブが造った「antifragility」の訳語です。「頑健 robustness」でない「脆くない」性質を意味します。「頑健」なものは、確かに「脆くない」。しかし、一定までの変化には耐えられるが、それを越えると壊れてしまいます。それに対して、「反脆弱性」はストレス、ランダム性、不確実、無秩序なものを受け入れ、そうした圧力を力にしてしなやかに対処していく性質を持ちます。

 

「絶対」がない全体の生き方

例えば、安定を求めて有名大学や企業にこだわるのは「頑健」で、職人など何か一つの技術を身に付けてどんな環境に置かれても対応できるようになるのが「反脆弱」だそうです。また、小さいときから潔癖、清潔を徹底するのが「頑健」で、動物と触れ合うのが「反脆弱」で、前者の方がアレルギー体質になりやすいそうです。
「『絶対』は絶対ない」のですが、私たちは『絶対』を前提とした効率性重視の生き方、働き方、事業運営をしがちです。更に、平時には、家族、上司、株主も効率性を求めます。しかし、見直さなければなりません。

今起きているコロナ騒動の渦中にいて、私自身、自分の仕事がどうなるか解りません。本当に不安です。しかし、この緊張感、ストレスは起業した人だから味わえるもの、これを乗り越えられば自分自身が「反脆弱性」を身に付けられ、また成長できる、そう考えるようにしています。

 

以上

参考:ナンシー・ニコラス・タレブ,「反脆弱性」,ダイヤモンド社(2019年6月)

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