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よく考えろ!と言われるが
「よく考えろ!」ちょっとしたことに気が付かず、ミスを犯してしまい、上司から叱られた経験は、一度や二度のみならず、必ずあるのではないでしょうか。
私たちは、1日に35,000回位判断しているそうです(ネットの情報なので、正確かは不明ですが)。その都度、本当に「よく考えていたら」、幾ら時間があっても足りません。
新しいビジネスを興そうとする時にも、同じことが見られます。やろうとはしているものの、中々新規事業を興せていない企業では、「よく考えろ!」と怒られないために、担当者は一つ一つ本当に丁寧に「よく考える」ので、時間が掛かり過ぎてしまうのです。
意識と反射
面白い実験があります。ベンジャミン・リベットが1983年に行った実験です。その実験では、人間は指を動かそうと意識する前に、無意識下で脳波が流れていることが示されたのです。つまり、考え、意識する前に、体が先に動いているということが示されたのです。
顧客との面談で厳しい要求を突き付けられたとき、私たちはどんな表情を作りますか?到底受け入れられないという厳しい表情、勘弁して下さいと懇願する表情、交渉に挑むために場を和ますための冗談めいた表情、などどんな表情を作りますか?その表情を「よく考えて」作っているでしょうか?
ビジネスは「反射」の積み重ね
私たちは、表情を作るというよりは、反射的にある表情になってしまうはずです。もし、それがまずいと「考える」ようになって、初めて違う表情を作ろうとします。そして、交渉の場などでは、その一瞬の表情やとっさの返答の仕方で決まってしまうことが多々あります。
つまり、こう考えられます。ビジネスでは「よく考え」ずに「反射」していることの積み重ねで成り立ち、結果が決まってくるのです。そして、実は「よく考えよう」とすることすら、「考えよう」と「反射」しているのです。
新しい「反射」を身に付ける
この「反射」は、経験を通じて、知らず知らずのうちに身についてしまうものなので、一度身に付いてしまったら、一朝一夕に身に別の「反射」に変わることはできません。失われた30年と言われているのは、私たちがこの30年間、過去最適だった「反射」を変えられていない結果だとも言えます。また、同じ失敗を繰り返すのも、間違った「反射」を変えられないからです。
しかし、私たちはコロナ禍という大きな変化の中にいて、ビジネスにおけるこれまでの「反射」が良い結果を生むのかが益々怪しくなってきています。
時代に即した、新しい「反射」を身につけるには、「論理的思考」と「科学的知見」に基づき、刻々と起きる「反射」を可能な限り評価し続け、変えようとし続ける必要があります。ゴルフなどのスポーツでも、一度付いてしまった癖は中々変えられないので、特定の癖を意識して、「これでもか!」と言うくらい極端にやってみる。この繰り返し=経験を積むことによってのみ、時代に即した新しい「反射」を身に付けることができるのです。
以上