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同じものを見ても、気付く人と、気付かない人がいる。
「はじめまして、あなたはアフガニスタンにいってきましたね?」これは、シャーロック・ホームズが、助手ワトソンと初めて会った時に放った言葉で、ワトソンを驚かせた。その根拠を、シャーロックはこう述べている。
「ここに医者風で、しかも軍人タイプの紳士がある。むろん軍医にちがいない。顔は真っ黒だが、黒さが地でないのは手首が白いのでわかる。してみると熱帯地がえりなのだ。艱難をなめ病気で悩んだことは、憔悴した顔が雄弁に物語っている。左腕に負傷している。動かしかたがぎこちなくて不自然だ。わが陸軍の軍医が艱難をなめ腕に負傷までした熱帯地はどこだろう?むろんアフガニスタンだ。」
私も、シャーロックのようにはいかないが、電車や飛行機の中で近くの人を観察、推理して、密かに楽しんでいる。先日も飛行機の中で隣に座った人を、大学関係、それも医学部関係と推理した。その後、偶々、その方から話しかけられたので、伺ってみると、大学関係ではないものの、お医者様と判明。惜しい推理だった。
ビジネスの世界でも、このような『気付き力』が重要に。
特に、「モノづくり」から「コトづくり」、すなわち、価値主導のビジネスへの転換を図ろうとしている「モノづくり」企業では、顧客ニーズを掴む「気付き力」の重要性がクローズアップされ始めている。それも、会社の中の企画部門や開発部門といった、特別な部署ではなく、価値創造の最前線で、顧客と対峙している、サービススタッフ、メンテナンススタッフや営業スタッフに、そのような『気付き力』が求められ始めている。
しかしながら、急にそのような役割を求めても、思うような結果が得られない。それも当然で、今まで、彼らには、そのような役割を求められていなかったし、逆に、決められたことを脇目も振らず、果たすことこそが求められていた。『気付く』経験もなければ、学ぶこともなかったからだ。
「風が吹けば、桶屋が儲かる」が効果的。
「風が吹けば、桶屋が儲かる」ということわざがある。一見すると全く関係がないと思われる場所・物事に影響が及ぶことを言っているのだが、並べてみると、
「大風で土ほこりが立って、人の目の中へ入れば、失明する人が大勢出来る。彼らが生計を立てようとするために、三味線がよく売れるようになる。そうすると猫の皮がたくさんいるようになるので、猫が減ってしまう。そうなれば、鼠があばれ出すので、多くの桶がかじられる。だから、桶がたくさん売れる」となる。
これは、謂わば、「仮説を重ねた連想ゲーム」だ。
「気付き」は、「①観察による発見」⇒「②仮説」⇒「③観察による検証」の繰り返しによって得られる。「風が吹けば桶屋が儲かる」のような「仮説を重ねた連想ゲーム」で、愉しみながら「気付き力」の向上を図ってみてはどうだろうか?
ところで、隣に座った方を何故、大学、医学部関係と推理したかというと、ちらっと見えたノートには、万年筆できっちりとしたメモが書かれていた。髭を蓄えていた。カジュアルだけど、割と高そうな服装だった。以上から、大学関係。それも、それなりに所得のある方なので、医学部関係の方と推理してみたのだが。。。。
以上