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「勝ちに不思議の勝ちあり、負けに不思議の負けなし」
元プロ野球監督の野村克也氏の語録としてよく紹介される言葉だ。実は、この言葉、野村氏のオリジナルではなく、江戸時代の大名で剣術の達人、松浦静山の剣術書『常静子剣談』にある一文から引用されたものらしい。
勝った試合にも、負けに繋がる要素がある
ようは、「負ける時には、何の理由もなく負けるわけではなく、その試合の中で、何か負けるに相応しい要素(=失敗)が必ずある。一方、勝った時でも、負けにつがるような要素(=失敗)もあるが、たまたま上手く勝っただけに過ぎないという場合が多い。だから、試合に勝つためには、負けた要素が何だったか、どうしたらその要素を消せるかを常に考えるなければならない。さらに、勝ち試合であっても、その中には負けに繋がることを犯している可能性があるので、たとえ試合に勝ったからと言って、その犯したことを見過ごしてはいけない。」ということを言っている。
経営学では、負ける確率の最小化に尽力してきた
MBAや、コンサルティングでは、正にこのことをやっている。負ける要素を分析し、負ける確率を可能な限り下げようとしている。しかし、負ける確率はゼロにはならないし、特に、新しいコトをやろうとするとわからないことが多すぎる。ここでつまずき、新しいコトが出来ない、あるいは従来の『重力』に引っ張られたことしか出来ない(参照:コラム【CW#11】;重力に引かれる魂)のを、企業の新規事業創出プロジェクトでしばしば見る。
偶然でも、勝てることがある!
この言葉を違った視点で考えてみると、次のことも示唆している。それは、『勝ちには偶然の勝ちがある』ということだ。一つは、「上手くいった事例を単に真似するだけでは成功しない」ということが言える。そして、もう一つ極めて大事なのは、「たとえ偶然であっても、勝てることがある。だから、大事なのは、腹決めして、トコトンやってみる。」ということだ。バットを振らないと、ヒットも、ホームランも生まれないのだ。
以上