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「道」を拓こうとする人がない!
先日、研究所を数年前に統合・移転した企業の方と、その運営のあり方について議論した。その企業が研究所の移転・リニューアルを決断した最大の要因は、ラディカルなイノベーションを打ち出せていない、さらに、イノベーションを興そうという研究者がいないという危機意識だった。
「道」を駆ける人が優遇されてきた、これまで
企業には、3つの人種(能力)が必要だ。第1の人種は、決められた「道」を速く、効率的に駆けられる人種だ。戦後〜高度成長期時代のキャッチアップ型経済環境下では、兎に角、前に進むことが出来る人種が求められてきた。かっての「ジャパニーズ・サラリーマン」のイメージだ。
第2の人種は、自分で考え、「道」を選べ、決断できる人種だ。経営者でいえば、中国空調メーカーの格力に技術公開を決断し、その後、世界シェアを拡大しているダイキンの井上会長や、M&Aを繰り返し、成長を続けている日本電産の永守会長兼社長が代表格だ。
そして、最後の第3の人種が、新しい「道」を拓ける人種だ。
それらは、時代や業界、置かれている競争環境下によって、その優先順位が変わってくる。これまでの我が国では、第1の「道」を駆ける人が重宝されていた。
第3の人種、新たに「道」を拓く人とは
先の企業だけではない。今、日本の多くの企業で、第3の人種である、新しい「道」を拓ける、拓こうとする人種が不足している。
「道」を拓く人種は、多くの人が「ま、いっか」と見過ごすことに気がつき、「問い」を立て、目先の小さな損得に囚われずに行動に移せる人だ。以前書いた「コラム;私に何ができるか」で、2009年に英知出版から出版された書籍「いつか、すべての子供たちへ」の巻末に寄せた(米国の社会企業家に詳しい)渡邊奈々氏の言葉を紹介している。
「身の回りの社会の矛盾に気がついたとき、おそらく1000人のうち999人は、その矛盾を嘆き、不満を口にしながら生きつづける。そして、たった1人が『こうすれば変えられるのではないか・・・』と、頭の中に描かれた解決のビジョンに向かって前進する。」
第3の人種、新しい「道」を拓く人とはこんな人だ。
自ら考え、「問い」を立てることから始める
他人から与えられた「問い」ではなく、誰かが言っている「問い」でもなく、自ら考えた、熱い思いのこもった「問い」を立てることが、新しい「道」を拓く第1歩になる。
以上