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2018.07.01
コラム
コラム【クリエイティブ・ワーク#32】;これから車はどう売れば良いか?

最近、シェアやレンタル、サービス化など、耐久消費財の提供形態が急激に多様化している。それを考えると、1年ほど前に車を買い換えたのだが、買うということが、「得」だったのか?、それとも「損」だったのか?が、ふと気になりはじめた。

経済学的には、
購入によって得られる「期待価値の総和」>「支払意思額(Willing to Pay)」>「価格」
となっているはずだ。そうでなければ、購入しないはずだ。
しかし、耐久消費財を購入する時、私たちは正当に『価値』を意識できていないように感じる。そもそも『価値』とは何なのか?も曖昧だ。
私が車を買い換えた時も、そうだっただが、類似製品との比較によってのみ、相対的に『価値』を意識でき、「価格」の値頃感を判断する。
後で思うと、①新たに付けられた新機能に対する「期待感」、②いつでも自由に使えるという「オプション」、③新しい製品を「所有すること自体」などに対する『価値』を過大評価してしまったと感じることも少なくない。
少なくとも、私の場合も、そうだった。「せっかくだから」とつい高い車を買ってしまったような気がする。今に思えば、「損」だったが、その時は満足していた=相応の価値があると判断したので、仕方がない。

今までは、耐久消費財を使うためには、購入する以外の選択肢は殆どなかった。そのため、購入時に生じるこれらの心理的バイアス前提の基で、エコシステム、更には「価格」が成り立っている。
しかし、これからは違ってくるはずだ。
カーシェアリングは、どんどん普及している。公益財団法人交通エコロジー・モビリティ財団の2018年3月の調査によると、国内のカーシェアリング車両ステーション数は14,941カ所(前年比16%増)、車両台数は29,208台(同19%増)、会員数は1,320,794人(同22%増)と、引き続き増加大幅に増加してきている。もはや、都心では、所有しなくても、ほぼ使いたい時に自由に使えるようになりつつある。
また、最近、高級腕時計をレンタルする“KARITOKE(カリトケ)”や“セレブウォッチ”などがはやっている。高級車をレンタルする会社も出現している。高級時計は、いざという商談の時などに借りるそうだ。
このようなサービスが普及すると、それらの高級車や高級腕時計を身につける敷居が大幅に下がってしまい、身に付けているモノ・時計で、その人を計れるという常識が崩れてしまう。そこに『価値』を見出していた人からすると、そういったモノを所有する(身につける)『価値』は陳腐化してしまう。

耐久消費財のビジネスでは「モノからコトへ」が叫ばれている。
今までの考え方(常識)に引っ張られていては手遅れになる。提供出来る『価値』は何なのか?相対的にしか評価できない、それらの『価値』が今後どうなっていくのか?を考えた上で、『価値』の提供方法とセットで製品の設計を考えなければならない。新たなエコシステム構築に踏み切る必要もでてくるだろう。
少なくとも、今までやられていたプロモーションのためだけの「新機能」追加は、殆ど意味がなくなると思われる。

以上

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